ダルデンヌ兄弟監督作品
ベルギー1990年代と思われます。イゴールは恐らくミドルティーン、しかしタバコも吸いますし、他人の財布を盗む事にも躊躇がありません。父と2人でそれなりに後ろ暗い経済活動(移民の不法入国斡旋)をして生計を立てているのですが・・・というのが冒頭です。
『プレイス・ビヨンド・パインズ/宿命』の後に観ていると、このイゴールとなんとなくバイク繋がりとか、いろいろ考えさせられるのですが、これは少年の成長物語です。しかし、非常に厳しい生活の中での話しです。
子供が子供でいられる時間は、およそすべての時間が等しく限りないモノである事を承知していても、中でも人間のある種の一生を決めてしまう時間でもあるように感じます。その中でも、これから大人になる(=私は自分の生活費を自分で稼げるようになる事、と考えています)その前に、金を稼ぐ、という行為をする、仕事に携わる、非常に厳しい境遇にイゴールは生きています。だからそのかけがえのない時間が、とても少ないです。無駄にも感じられる事もあるかも知れませんけれど、それが豊かさ、という事です。
しかし、それでも肉親である父との関係を主軸に世界を視ているのですが、ある事件があり、その衝撃、その後の信頼していた父への不信感、事件があった時に1番近くに居て、しかもある種託された、まだ幼いイゴールの決断、そしてその託された約束がどうなってしまうのか?というサスペンス要素もあります。
何といってもイゴールを演じた子役が素晴らしく、少し不器用で崩したリバー・フェニックス、は言い過ぎかもしれませんけれど、本当に目線が良かったです。表情が顔に出てしまう子供でありながら、働いている、父親の片腕だという自負、を感じさせる二面性が凄かったです。
かなり重い決断に至るまでを、丁寧に扱った作品。映像は古く感じますけれど恐らくそう簡単には古びない作品。
移民として生きねばならない人の心もとなさ、とてもヘヴィーです。
それと、文化としての呪術、あるいは占いみたいなものは個人的には、そろそろ人間社会からはもう少し『遅れたモノ』という扱いがあってもいい気がします。もちろん、それを楽しみに能動的に受け取りに行く人の楽しみを奪おうという訳ではありませんが、迷信的なモノの扱いは難しいですね。
子供と接する機会のある人に、オススメ致します、流石ダルデンヌ兄弟監督作品!!!!!
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