井の頭歯科

引き続きマラソン 「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」を観ました

2022年2月2日 (水) 09:17

ジョン・ワッツ監督     MCU

MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)で再々度のリブートをしたスパイダーマンの2作目です。

ですが、ここでアテンション・プリーズ!アベンジャーズ(avengersって復讐する人の複数形・・・Jediならこんな名前にはしないでしょうね・・・)の最後の2作(の感想は こちら )を見ていない人はオススメしません。私はアベンジャーズに対する愛が無いので、唐突に予備知識無しでラスト2作を観ましたが、最初から追いかけて観ている訳では無いので、それほど凄い映画には感じられませんでしたし、ストーリィ上の穴も結構開いていますし、飲み込みにくいモノ多いですけれど、1作目から見てきた人には大変大きな物語ですし大団円な話しですから、意見が食い違うのは仕方ないと思います。そういう意味で私は少数派です。ですが、私にとってはスパイダーマンをこのタイミングで観てすぐに「ノー・ウェイ・ホーム」を映画館に行ける為に、アベンジャーズの2作を観たんだな、と思い、過去にアベンジャーズを勧めてくれた友人に感謝と共に、その指示に従って映画館に行った私もエライ!と思いました。

これ以後、アベンジャーズのラスト2作のネタバレがあっても、この映画「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」の決定的なネタバレはしないつもりです。その辺はよろしくお願い致します。

砂漠地帯の都市にハリケーンが訪れ、そのハリケーンには顔があったかもしれない、という事件を調べに来たフューリー(サミュエル・L・ジャクソン)は丸い頭の新たなヒーローが現れ・・・というのが冒頭です。

今回は高校生のピーター・パーカーが、修学旅行に行くとどうなるのか?という日常のダメ男子の話しの中で、ヒーローを引き受けるとは、大人とは、何かを後世に託す、その想いを受け取るその意味は?というヘヴィーな話しのハイブリッドでして、上手いなMCU!と思いました。

なにしろ世界の半分が死滅して、その上何年か後に生きかえる、というめちゃくちゃな世界です。壮大なこの世界を成り立たせる非常にバカでかい 『嘘』 をさらに飲み込まないといけない。これはとても難しい事です。しかし、ここに、日常生活、それもこの特殊な『嘘』を前提にした日常生活を噛ませてみせると、不思議とそういう世界の話しを観たくなる気持ちになりますし、この事はなかなか気づけなかった新しい発見だと思います、MCU上手い!というか脚本チームで前作から引き続き担当しているクリス・マッケナとエリック・ソマーズがたどり着いた結論だと思います。かなり紆余曲折があったと思います。この辺の脚本の練り上げは過去のトビー版とガーフィールド版は全然足りないし雑さを感じます。だって5年経つとそりゃ年下がイケメンになって同級生になってもオカシクナイ、というヘンテコリンな世界が広がってて、そういう細部を細やかな配慮の中で描いてくれたら、当然どんどん引き込まれますよ。

しかもこの日常生活の中では割合強いイベント(修学旅行って多分に日本だけの言い方で、きっと何かしらの研修)なので気持ちが上がります。

そして、今作も、前作の敵であるマイケル・キートンと同じくらいの悪の理由を理解させてくれるのが、最も素晴らしい。その役者にジェイク・ジレンホールを連れてくるMCUは信頼できる。このキャスティングは、とあるメガネの場面でチラリと映りますが、一瞬みんなの見ている目に補正を、思い出補正をかけるだけの自然さがありました。うん、ちゃんとあの人に見えるし、頼れそうだし、なんなら頼りたいんだよね・・・ここにちゃんと伏線と傷を与えるのが素晴らしい。心情的には、マイケル・キートンも、そして今回のジェイク・ジレンホールも、私は同意しますよ。彼らには彼らの理由があり、金持ちが金に任せて公的な機関で仕事やプライドや生きる尊厳を奪われた場合、綿密な計画を立てて立ち上がる行為に胸打たれます。分かるぞ、もっとやれ!という気持ちになるんです。わざわざ公衆の面前で面目を潰されてごらんなさい、潰された側は、生涯忘れる事は無いでしょうし、中には長い時間をかけて怨念を募らせ、さらに昇華させる方法を考え付く人が出てくるでしょうね。

高校生の様々な変容については言及したいけれどネタバレに繋がるし、止めておきますけれど、俺たちのネッドに!!!な展開が非常にヤラレましたし、ハッピーとの自己確認に請求書を使うセンスがサイコーです。つまりちゃんと笑えるギャグなんです。MJとかフラッシュとか段々と立ち位置がオトナに近づいていきます。そしてこの年代ならでは(すいませんウソですね、基本ずっと女性の方が成熟が早い・・・)の男子の幼さよりは女子の達観の観察、洞察、推理が勝っているのを全面にだしての演出は素晴らしいです。ダメ男子高校生はこのくらいの淡さで十分、というか好みで言えばちょっと行き過ぎ!あの橋の上の会話だってちょっと唐突に2人だけな感じがしちゃう。

それと、ピーター・パーカーを見守る立場のハッピーやマリサ・トメイのキャッキャ感も面白かったです。大人だっていろいろあるし。一面的ではないのが良かった。あとやっぱマリサ・トメイは本当にいい役者になったなぁ~前から好きでしたけれど、シドニー・ルメット監督の遺作「その土曜、7時58分」のオープニングに度肝を抜かれましたし、ジョージ・クルーニー監督「スーパー・チューズデイ 正義を売った日」も素晴らしかったけど、歳を重ねてさらに良くなってるし、その年齢での美しさがある事を証明出来ている俳優だと思います、サイコーです。

でもね、でも、こんなに好きな作品なのに、気になる部分もあって、それは結局ジャイアニズムの権化である男の掌の上でしかない話しになってるんですよね・・・ある程度のギミック、スーツの性能は必要だと思いますけれど、観たいのはそういうメカじゃない気がします、もっとはっきり言うと、大人じゃない、子供のヒーローだからこそ成長の余地があり、だから純粋な面もあるけれど、次の瞬間は別の事を考えていてもオカシクナイんです。それが、失われていく感じがするのが、当然寂しい。

あと全然ワカラナイのが、被り物の2名・・・あれは誰なんでしょう・・・

これで予習はすべて終了しました。では、この勢いで、映画館でラスト「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」を観てきます!

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