ミッシェル・フランコ監督 クロックワークス U-NEXT
ミッシェル・フランコ監督作品は非常に人を選ぶ作品だと思います。思いますが、私は結構好きな方で、全部で6作品ありますが、私は「父の秘密」と「ある終焉」の2作品は映画館で観ていますけれど、今作は映画館に間に合わなかったので、U-NEXTで観ました。とにかく初めて見た「父の秘密」が凄すぎて。
極めて極限状態に陥った状況を思わせるショットが数秒ごとに切り替わるセンセーショナルな画像が続き、とあるパーティー会場が写され・・・というのが冒頭です。
え~また、映倫さんの独自の猥雑基準を監督の意向を無視して、結構な大きさのボカシが入ります。何をもって卑猥とか判断しているのか?が全然判然としないです・・・もうこの話題は散々話してきたのですが、常識とはテクノロジーの発達においても、文化的な素地の変更があっても、その他さまざまな理由で変化していくものです。家にしか電話が無かったから常識的に、深夜の電話を控えたり、待ち合わせ場所や時間を前もって決めておかねばならなかったりするのは常識的な事でしたが、携帯電話の普及によって常識は変わりました。当たり前ですが、常識は変化しますので、そろそろ、監督の意向を、そのまま上映出来るようになるべきだと思います・・・監督の意向を変更しないと上映出来ないってそもそもがおかしくないですか?安心安全なだけの中で育てられた生き物は、環境の変化に負けやすいとも思いますね。もうレーティングの最上位を作って、ある程度の規制を外すべき状況にあると思います・・・凄く幼稚な規制になってしまっていると思うのです・・・
閑話休題
かなりはっきりと、いわゆる暴力、を描いた作品です。そして、階層社会が通常な場合、その反動はかなり大きなものになる、という感じがします。押さえつける暴力が多き程、その反動も大きな暴力になる、という事です。
いわゆる、反体制側が暴力をもって、体制側に反抗する場合の混乱、を描いた作品。なかなかショッキングで、そして映像美としてある程度のプランを持って作り上げられている作品です。
NEWORDER 普通に訳すると、新しい要求 とも取れますし、新しい秩序とか治安とかにも取れるかと思います。ただ単に暴力によって何かが破壊される、とかいう世界を撮りたいわけではないのではないか?と思うのです。これまでのフィルモグラフィー的にこの監督がそんなに単純な混乱を描いているとは思えないのです。様々な細部に意匠があると思うのです。その辺を読み取りたい、という人にはいくつものヒントはあると思います、でもなかなか全部がワカラナイ。その辺を誰かと話し合ってみたいです。
こういう階層社会であるなら、パンクという思想が生まれるのも分かりますが、日本だと「どうなんでしょうね。
暴力により、秩序が失われた瞬間の人の暴力性について、興味のある方にオススメ致します。
アテンション・プリーズ
ココからネタバレアリの感想になります。未見の方はご遠慮ください。
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
統治が行えている状態は、まだ安心できる、と所得の高い人間なら思えたでしょうけれど、最底辺の生活を送る人間にとってはどっちでも同じで、だからこそ暴動が起こるのか?とも思いますが、あまりの生活の一変には驚愕しかないです・・・
善意で行動を起こしたマリアンは、しかし、持てる者であって、だからこそ、持たざる者になった瞬間、身代金とか身体的な意味しか成さなくなる事の恐怖は、なかなかだと思います。他に選択肢もありましたけれど、その中でもより良いベクトルの動きをしていたのは彼女だけなのに。
しかしそんな個人の想いや行動は社会の中では些末な出来事であり、理不尽で恐ろしいまでにコントロールの効かない、先の見えない、今の日本であってもどうなるかワカラナイのが同じなのが恐ろしいです。
しかも、軍部にコネがあろうとも、組織防衛が優先されるわけで、当然これも現代日本でも十分ありうるというか、既に起きていますよね、残念ながら。多分どの時代のどんな国でも起こっているんでしょう。だから特別な事ではないのかも知れません、ただ、私が忘れているだけ。
今こうして映画を観られる事の平穏さを享受しようとと思います、いつ何が起こるか分からないのだから。
コメントを残す