サム・カルマン ジェニファー・グラウスマン マーク・ベッカー 監督
Trenova U-NEXT
やはり美術関係の映画のオススメで出てきた映画なので、観ました。
2011年のアメリカ。美術館に寄贈、という形で贋作を送り続けているマーク・ランディスという男に密着の取材をしつつ、マーク・ランディスに『憑りつかれた』り被害を被ったりした相手へのインタビューを差し込むドキュメンタリー映画です。
実際の、事件(?)を扱っているのですが、マーク・ランディスの個性と言いますか、かなり変わった性格の持ち主で、贋作を起こりつけるのに、様々な嘘を駆使しているのですが、贋作を売りつけている訳では無く、寄贈という形なので事件になりにくい不思議な感覚になります。
やっている事は結構露悪的とも言えるのですが、実際の、画面に映されているマーク・ランディスの不思議さ、主張の少なさ、自己顕示欲の薄さ、喋り方、佇まいから、多分こういう人なんだろうな、というのが分かります。凄く主体性の薄い人、多分続けているうちに面白くなってしまった、あるいは習慣になってしまった感じです。もちろん、嘘はついていますし、それも結構な嘘なんですけれど。
もちろん被害、というか、贋作だと気づかずに展示してしまった美術館側は結構本気で怒っていますけれど、でも見抜けなかったのも事実ですし、仕方ないのかな、という感じ増しますけれど、つまり、美術作品の価値って人それぞれだし、決まった評価なんて本当の所は無いんじゃないか?という凄くまっとうで普通の疑問に対するある種の答えにもなりかねない感じで、面白いと言っちゃ失礼なんですけれど、面白いです。
その美術館の職員だった、そしてマーク・ランディスに憑りつかれてしまった被害者(?)のマシュー・レイニンガーさんの方に私は狂気を感じました。まさに憑りつかれた感覚、何かに拘泥している、執着を感じます。そこまでの事では無いような気もするのですが、でもこれが自分の仕事で、そのプライドを傷つけられたら、と思うと、そうなってしまうのかも、とも思います。
タイトルは少し煽り過ぎな気もしますけれど、実際のマーク・ランディスの人柄、その生活を知れる、と言う意味では面白いです。きっとある種の才能だと思います。
美術に興味のある方にオススメ致します。
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