是枝裕和監督 ギャガ U-NEXT
2022年見逃し後追い作品 その5
もうこれは巨匠の域に入った、と確認するに至りました。もう凄く映画が上手いです。しかも他言語の生活圏に入って監督するって、本当に凄い事だと思います。
現代の韓国。赤ちゃんボックスのすぐ下に置かれた赤ん坊を転売目的で連れ去ったサンヒョン(ソン・ガンホ)とドンス(カン・ドンウォン)は・・・というのが冒頭です。
とにかく映画が上手い。凄くいい。もう文句ない素晴らしい作品です。毎年1本こういう映画が見られたら幸せです。
まず、ソン・ガンホさんの上手さは、どこまでも高まりますね。今回も納得の演技です。普通のオジサンなのに、ダメ愛らしい、いわゆる愛嬌があります。愛嬌のある人って本当にうらやましいです。愛嬌があれば、多分人間は何処に行っても大丈夫な気さえしてきます。そして当然良い人間を演じていますけれど、イイです。
そしてカン・ドンウォンさんは初めて見たのですが、何処となく加瀬亮さんを彷彿とさせる感じで、とても良かったです。主演はこの方のように感じました。
そしてヒロインにはイ・ジウンさんなんですけれど、この方も初めて観ましたが、どう見ても松岡茉優にしか見えない瞬間がたくさんあって、似てる!とおもいましたし、どちらも演技がイイ!と思います。というか、是枝監督作品だと誰が出てても、違和感がほとんど感じられないです、福山雅治さん以外は・・・その福山さんでさえ、他の監督の時とはまた別の意味で違和感があるので、そういう演技の人なんだと思いますけれど。
そして、ここに子役が加わってのロードムービーなんですけれど、このささやかな日常っぽい雰囲気が流石是枝監督って感じです。
そして追う刑事チームにペ・ドゥナさんです。グエルムで見ていますけれど、年齢を感じさせない上にこの人はコメディもいけるのでは?と思いました。
アメリカハリウッド映画がいう「家族サイコー」とは別の意味で最近の世界の映画の潮流に、疑似家族関係≒新しい家族像≒血縁関係の無い家族像というのがあると思うのですが、私は人類の進歩なんじゃないかな、と思ったりします。血縁関係や婚姻関係というか役所に届けたからと言って何か特別な意味があるのか?と思ったりもしてしまいます。逆に言えば届けていないと言って何か特別な意味も無いんでしょうけれど。家族と呼んだりしなければ良いだけのような気がします。多分新しい名前が必要なんだと思います。60年代で言えばコミューンという事になるんでしょうけれど、コミューンみたいな集団生活とか、性的開放とか、サイケデリックとか、そういうのじゃない血縁関係の無い集団で疑似家族的な繋がり、合ってもいいと思います。
これも映画館で観るべき作品でした、惜しい事しました。映画館に行けるというだけで、一期一会ですね。
是枝監督作品を観た事がある人と、無い人両方にオススメ致します。
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