ハン・ジェリム監督 KLOCKWORX 吉祥寺アップリンク
航空パニック映画です、密室の中の出来事ですし、かなり特殊な状況と言えると思います。
出演陣もとても豪華ですし、斬新な映像が凄くたくさんありました!
飛行機における「非常宣言」の字幕説明があって、ソン・ガンホ演じる刑事はいつも休暇が取れずに朝起きると娘が出かける所で、妻は料理を残して既に家に居ません。イ・ビョンホン扮する父親は娘を連れて空港で飛行機搭乗の手続きをしていますが・・・というのが冒頭です。
物凄く豪華で、これ、多分日本映画には今は完全に出来なくなったスケールです。韓国映画の勢いというかバジェットの大きさ、完全に溝をあけられてしまっていますが、ただ、映画ってバジェットが大きければ良いと言うモノではありません。ありませんが、多分今の日本映画には真似できない予算規模でして、いいなぁ~と思いました。日本映画にももっと出資が集まって欲しいですしポテンシャルはあると思いますが、世界で勝負できる映画ではない、もしかすると目指してもいないのかも。
とにかく、豪華な出演陣、豪華な絵作り、豪華な予算で撮られた航空パニック映画の新たな作品です。
序盤、様々な人々がそれこそ説明っぽくなりかねないのに、交通整理が上手くなされていて、説明っぽさ全然無くて、本当に上手いです。様々な人物、犯人役、飛行機に搭乗する人物たち、主人公親子、夫婦、地上で対応する人々、かつてないバイオテロの状況などの説明パートが凄く手際よく描かれていて、ココは本当に素晴らしい。
当然、ソン・ガンホさんの演技はもう納得するしかない序盤ですし、いざ事が起こってからの鬼気迫る当事者感には、大変説得力があります。途中のカーチェイスシーンでは、どうやって撮っているのか?分からないくらいですし、絶対スタントマンがいないと成立しかねないのに、ここは私の個人的カーシーンのベスト作品であるスパイク・ジョーンズ監督「アダプテーション」のカーシーンに勝るとも劣らない出来栄えですし、凄かったです。
恐らくの主人公親子のイ・ビョンホンさん、私はたくさんは見ていませんけれど、確かに上手いし、説得力ありました。違和感なく、結構難しい役どころを演じていて、イイです。あと、子役の子もとても上手い。
また、運輸大臣役でチョン・ドヨンさん、久しぶりに観ましたが、イ・チャンドン監督作品「シークレット・サンシャイン」の主演女優さんでしたね、この人の説得力も良かったですし、この人主役目線で、もっとシリアスにした脚本で、もっとソリッドな脚本演出だったら、良かったのに!とも思いました。
でもその上、個人的な驚きで韓国俳優陣の層の厚さを感じたのが犯人役のイム・シワンさんです。もっとこの人の動機の部分にも焦点を当てて欲しかった。ただ、確かに世界は理不尽で意味不明に、悲劇が起こる事があります。
本当に斬新な映像もたくさんあって、良い所もすっごく多いのに・・・
とにかく、途中まで凄く良かった。布石も伏線も全然悪くないし、心地よい驚きに満ちた素晴らしい作品です。でも気になるところも結構ある作品。
ネタバレは避けると欠点については何も言えないのですが、最初に思い出したのは「宇宙戦艦ヤマト」です、もうこれに尽きる。
でも新しい映画が好きな方、驚きたい人にオススメの映画です。
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