マイケル・グレイシー監督 20世紀フォックス
ミュージカルの面白さがすんなり入れる人、突然人が歌い踊り出す事に抵抗感の無い人、というのは、多分幼少期にミュージカルの舞台を観た事があるのではないか?という仮説が、私にはあります。男子は特に、そういう舞台を経験したり、観たりすることが、昭和に幼少期を過ごした男性であるなら、特に少ないと思います。だから、比較的、ミュージカルという世界に入り込みにくい。
逆に言うと、女性にとってはなじみがありやすい世界だと思うのです、だって、演じる、という要素にも当然馴染み(ママゴトとか。男児のヒーローごっこは演じているのではなく、なりきっているのです、そこに自分はいない)がありますし、おそらく、感情的に、直観的に、出来ているんだと思うんです(←はい、また世界の半分くらいを敵に回したと思いますが、あくまで傾向の話しをしています、しかも私の実感、私調べの話しです、世界の不文律の話しでは無いです)。
もちろん私は昭和に男児を過ごした経験者なので、ミュージカルになじみが無い。しかし、レミゼという古典名作に非常に強い思い入れがあり、そして、ミュージカル映画としても傑作だったトム・フーバー監督「レ・ミゼラブル」は別格に大好きな作品ですし、サントラも購入しています。
しかし、この別格に好きなレミゼ以外になかなか好きなミュージカルと言える作品が無い。もし、ジョン・ランディス監督作品「ブルース・ブラザーズ」をミュージカル映画として良いのであれば、レミゼよりも上に行ってしまう傑作ですけれど、この作品はミュージカルと言えそうで言えないと思います。歌で説明もしますけれど、割合、常識的に、歌を歌う、踊りを踊る事に必然があります。ミュージカルを私が観る限り、割合唐突に心情を歌い出す、という場面があるのがミュージカルな気がします。
この唐突に歌い出す、に違和感を感じないくらい、その世界にのめり込めるか?が肝なきがします。心情を、情動を、歌に込める、という感覚が生もの感があり、とても感覚的。そこが、良い、悪いに拍車をかけて好き嫌いが分かれるような気がします。生々しいんですよね。
で、ようやくグレイテスト・ショーマンの話しです。実在の人物みたいですね。
ユニークな人を集めてサーカスを作る、見世物小屋として、そして成功を収めた人物のようです。ただ、結構な自信家で、その上差別的な、見世物小屋を経営する側としての上流階級へのコンプレックスを持った人物です。その点は別に批判される問題は大きくは無いかも知れませんが(ちょっとは、ある)、多分今でいうプロデューサー器質はあるんでしょうけれど、コントロールするという点においては結構な穴があり、そこを、見世物小屋で働く人々の好意によって埋められた溝、という自身の努力とか変化とか成長じゃない部分が、結構引っかかりました。
そう言う意味で、ストーリーとかキャラクターにまだ様々なブラッシュアップすべき点もあると思いますし、登場人物として関りが低い人物が多いのも、説得力に欠ける点だと思います。
今の視点で観れば、ある種の多様性の表れ、でいいと思いますけれど、当時の感覚であれば、まさに見世物だったと思います、この辺の匙加減はもっと敏感に出来たような気がするけれど、演者はどなたも良かったですし、踊りも歌も良いと思います。
ただ、もっと映画としては練れた気がします。
でも、この世界に入り込める人には響く作品で、私はそこまででは無かった、というだけです。
ミュージカルが好きな方にオススメ致します。
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