デヴィッド・フィンチャー監督 Netflix
デヴィッド・フィンチャーの作品の黒は本当に特徴がありますし、アバンタイトルというか最初の導入、製作会社とか役者のスタッフロールの部分、つまり掴みが異常に上手いですよね!今作もサイコーでした。
デヴィッド・フィンチャーも60歳を超えているわけで、これからも作品をどんどん作って欲しいです。
資材置き場のような一室で質素な椅子に座っている男が脳内モノローグで語り掛けてきます・・・というのが冒頭です。
まぁタイトルの通り、殺し屋の話しです。
世の中の職業に殺し屋がいるのか?私には分かりませんけれど、フィルムノワールの映画で殺し屋の話しで、デヴィッド・フィンチャーの映画なら、まあ好物です。
主人公はマイケル・ファスベンダーさんですが、この人年齢不詳過ぎますね。調べてみたら46歳!年下!!驚愕!せめて同じ年かと思ってました・・・が、そんなことはどうでも良くて、演技巧者で物静かなイメージですけれど、どんな役でもこなせるのでは?というくらい様々なタイプを演じていると思います。
本当にカッコイイです。
ただ、脚本として、確かにヒーロー、というか主人公が上がるためには、下がる場面が必要です。その場面が、なかなか難しい感じです・・・ここはもう少し映画として長くなったとしても、平時の場面を入れるべきだったのではないかなぁ・・・
しかし、そんな事は些末な事なのかも、観ている時は全然気にならなかったです、何しろ非常に展開の早い映画ですし、2時間にまとまってて、今の流行りの長すぎる(スコセッシ監督の「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」は206分!ちょっと厳しいよ~それに前作「アイリッシュマン」イマヒトツだったし、配信なら・・・それに劇場ですぐに終わっちゃったの残念・・・)映画との差別化にもなってる。意味ある長さなら仕方ないけれど・・・
とにかく、画面の端々からデヴィット・フィンチャー印が感じられますし、観ていてとても心地よいです。
デヴィッド・フィンチャー作品が好きな方に、オススメします、劇場で観れば良かった。
アテンション・プリーズ!
ここからはネタバレありの感想なので、未見の方はご注意くださいませ。
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ネタバレありとしては、まず、脚本についてです。
最初のミッションの失敗の原因は確かに予測不能なのかも知れないけれど、プロならもう少し待ったんじゃないかな・・・というかもう少し待てるのでは?という杜撰さを感じてしまって、ちょっと主人公への信頼度というか、プロの殺し屋としての洗練度、熟練度に違和感を覚えてしまうのが、少し気になりました。けど、デヴィッド・フィンチャーなら当然分かってやってると思いますし、総合的な判断なんだと思います。原作もあるみたいですし。
その他にも、なんで割合簡単に妻の事、襲撃者は諦めてしまったんですかね・・・この辺も少し理解出来ないし、どのような指令だったのか?理解に苦しみます。
だって、任務失敗したプロの殺し屋はそれなりに存在するんじゃないでしょうか?そのたびに、報復してたら、組織としても不安要素が残りますし、綺麗に、クリーンにするなら、ショッカーじゃないけれど、存在を消さないと・・・
さらに、敵というか元組織の繋がりも良く分かりません・・・
元締めに近い弁護士が消されたのであれば、普通もう少し警戒してもよさそうなものですし、1人目の大男は強かったし、最初だから不意打ちは出来ますけれど、2人目のティルダ・スウィントンはもう少し警戒するのが普通な気がします。でも、ティルダ・スウィントンは美しくて良かったしカッコ良かった。
ラストのボスの情けなさ、割合の普通感もリアルで良いのですが、これまでに、ただのタクシー運転手までも殺害して、弁護士に、その助手まで殺害してきた、自分で言う所の「誰の肩も持たない」「判断しない」「予定通りにやれ、即興は弱さ」とかに反して、ココでボスを許すのがちょっと解せないです。
ボスに意味がないのは理解出来たと思いますし、しかしだからと言って自分でも言っている様に「サイレンサー付きの銃を持って何しに来たと思う?」まで言ってますし、まぁ簡単に死んでほしくない怯えて暮らせ、という事なのかも知れないですけれど、今後の自分の身も妻の身にも危険が伴うと思うのですが・・・
それに、いやだからこそ、いつまでも普通でいられるはずがない事を自覚して「安心は負の連鎖」まで考えた上で、すべてを受け入れ、何時危機が訪れて命の危険を感じる事になろうとも、今の時間を受け入れつ事にしたのかな?とも思うのですが、まぁちょっとボスを許した経緯が理解出来なかったです。お家も引っ越したわけじゃなさそうですし・・・
それでも、デヴィッド・フィンチャーらしい黒の色、プロの仕事を見る心地よさ、堪能しました。
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