中村真夕監督 Omphalos Pictures Amazonprime
2024年公開映画/2024年に観た映画 目標 36/100です。 現在は11/45
2024年の5月に私は知った(NHKスペシャル)のですが、2011年の東日本大震災の後、帰宅困難地域(という名称は本当に他人事で仕方のない事なんでしょうけれど、凄い矛盾を感じますね・・・ 単に放射線の強い地域でも良いのでは?)に残って、ペットなどの人間に飼育されていた動物の世話の為に残ったナオトさんに密着したドキュメンタリーです。
先に、どうかと思う部分もあった事を。
東京の水には毒、までは含まれていないという感覚があります。
放射能汚染の実験は流石に陰謀論的な感覚があります。
それと決してナオトさんはスマートな方では無いので、感情論に見える部分もある。
確かに行き過ぎな部分、ヒロイックに感じて反撥する人もいる作品だと思う。
ただ、恐らくなんですけれど、つまりドキュメンタリー作品なんで、全部が真実ではなく、監督の意向に沿った 素材 を使ってのあくまで作品。どうせ撮るならフレデリック・ワイズマンに撮ってもらいたかったくらい。
そして、この作品の中では経緯が語られないのですが、フランスに呼ばれたり、霞が関に抗議の行動を起こしているように見えるけれど、ナオトさんが意見を出して率先してやっているか、微妙。あくまで頼まれたから出て行った、という感じに、私には観れた。
霞が関へのパフォーマンスだって、あまりに無視され続けたら、乱暴な行為を働く輩は出てくるでしょう。だって管理するのが責任なんだから。管理出来ていない事になるし、観ないで済む東京の官僚に、見せたくなる気持ちも分かる、あまり上手いやり方だとは思わないけれど。それに、当事者としてマイクの前に立たされた人の気持ちも察するし、恐らくこの人に何かを決める権限すらない。黙って下を向くよりほかは無いし、そういう文化で、そういう社会がうちの国の特徴とも言える。
また、確かに天災な部分もあるが、人災である部分もあると私は考えるし、万が一人災が無かったとしても誰にも責任がない、という事にはならないし、自然災害が起こる事を想定して計画を実行した人間には罪が存在すると、私は考えます。
また、アンダーコントロールにある、とうちの国の代表が発言する事にも、強い違和感を覚えます、もしアンダーコントロールなのであれば、帰宅困難な人も、仮説住宅に住む人は自分の意志で済んでいる事になるし、廃炉のロードマップに現在は未知の技術が記されている事も無いだろう。また、様々に付随する他国の海産物輸入の規制も無くなっているであろうし、補償問題にも決着がついて、今まで通り生活していた分の費用くらいは保障されるべきです、生活が破壊されたのであるから。
私の知る限り、今の所、この災害の責任をある程度でも負った人間が居た事を聞いたことが無いです。
そして人間の都合で、置いていかれた動物を世話する、という点に尊さを覚えたという事です。
今まで、全く存在すら知らなかったにで、どんな意図で作られたにせよ、記録として監督にも感謝です。
同時に、この事を思い出しました。
永井荷風は断腸亭日常の1945年9月28日の日記にこう記しています。
『余は別に世のいはゆる愛国者といふ者にもあらず、また英米崇拝者にもあらず。惟虐げられる者を見て悲しむものなり。強者を抑へ弱者を救けたき心を禁ずること能ざるものたるに過ぎざるのみ。』
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