ヴィム・ヴェンダース監督 U-NEXT
2024年公開映画/2024年に観た映画 目標 36/100です。 現在は22/77
2020年代のTOKYOの早朝、アスファルトの上を竹ぼうきではく音が聞こえ、目を覚ます平山(役所広司)は・・・というのが冒頭です。
私は許可局員なのですが、基本的にPERFECT DAYSについては、東京ポッド許可局「PERFECT DAYSおじさん論」を聞いていただければ私の感想なんか全然意味は無いのですが・・・
昨年末から劇場でかかっていたにも拘らず、しかもヴィム・ヴェンダース作品ですし、劇場に行くべきだったのに、なんか地雷臭がして、なかなか足が踏み出せませんでした。で、それは結局今観て当たってた、と言わざるを得ないのが現状です。
非常に苦い告白になるのですが。
とりあえず、私の言いたい事は基本的に東京ポッド許可局「PERFECT DAYSおじさん論」に完全同意です。
こちらが そのポッドキャスト です https://www.youtube.com/watch?v=SmEhXsdtrIc&t=1684s
プラスするなら、めっちゃ村上春樹じゃないか、という事です。
なので、村上春樹作品が好きな人にオススメします。
ネタバレありの感想は、とても面倒で、苦い告白になる事でしょう。
アテンション・プリーズ!
ここからはネタバレあり、映画「PERFECT DAYS」のネタバレ、そして村上春樹作品の初期のモノですがどれだかワカラナイけれどネタバレがありますので、ご注意ください。また、基本的にそんなものに興味のない人が多いと思いますし、それが普通ですので、こんな文章を読むよりは、有意義な時間をお過ごしくださるようにお願いします。
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ここからはネタバレしまくりますし、なんなら村上春樹のネタバレもしますので、十分なご注意を。そして、読んでて心地の良い文章ではありません。別に揶揄しているつもりもないです。そういう意図はありません。ただ単純に、そっくりですね、と指摘しているにすぎません。でもファンの人からは怒られそうですけれど。
めっちゃ村上春樹作品。おじさんに共感させるギミックに満ち溢れていて、この主人公は私だ!と思わせるのがとても上手い。読書、という能動的な行為でなら、さらに強く、この主人公(村上作品の多くの主人公は名前が無く『僕』表記)は私だ!+この物語は私が一番理解出来ている!と強く思わせるのが上手いのです。
という事は、基本的にハードボイルドに見せかけて実はご都合主義なわけで、しかし、主人公に感情移入していると大変心地が良い、という事です。ちなみに、読んでいないのに村上春樹を馬鹿にするのも本当に腹立たしいですし、だからと言って純粋に称賛しているわけでもなく、もちろん揶揄しているわけでもないです。読んでないなら、読んで批判して欲しいし、読んだならそれなりに読者に選ばれている理由もある程度は想像付くだろうに、それを排除した上で批判するのもおかしい。いつまでもずっと村上春樹に留まっているという事が、単純にどうかと思うよ、と指摘しているだけです、幼い頃に読んでいたら、そんなに単純に批判出来なかったでしょうね、と言いたい。
ああ、ホラめんどくさい感じになった・・・
まず、物語の冒頭の章ではおじさんの紹介です。ルーティンワークでトイレの清掃人で、こだわりが強く無口で、興味のある事柄は基本的に自分だけで完結出来る事しかなく、古い音楽と古本が趣味。写真も趣味。早寝早起きで自由な時間を大切にしているけれど、人と接触する事は最小限に留めている事が描写されます。
もうこの辺はもろに村上春樹作品主人公の典型例だと思います。随分前に読んだので出典は全部分かりません。分かりませんが「物事の半分しか話さない男がクールに見えて実践していたら物事の半分しか喋れない男になった」的な説明があったと思います。強く自分の殻に閉じこもる傾向にある主人公ですが、基本的に人には優しいですし、めったに怒らない。もうそのままに見えます。
次の章では同僚であるタカシ(柄本時生)との関係性を含めて、伯父さんである平山を説明してくれます。タカシは全くのダメ社員で女性ともうまく行ってないのですが、何故か(でた!)その彼女は平山に興味を持ってわざわざ会いにくるのです、しかもカセットテープを聞かせてくれ、と平山にとって好都合な事を言い、耳にキスして帰っていきます。
平山の仕事は都内のトイレの清掃なので、何処に何時現れるのか?はタカシの意中の彼女(金髪)にはまず分からないのに、平山にわざわざ会いにくるんです、カセットテープを聞かせて、とかイイ感じでこっち(このこっち、という表現が既に私も 平山 に共感しつつある、という事を暗喩していますね というツッコミが脳内で入るのでうるさい)に好意や興味を示してくれるんです、そういうのをご都合主義だと言ってるだけです。平山からは特に何のアクションも起こしていないのに・・・この辺がオジサンの夢が詰まってます。
女性にハーレクインロマンスが必要な様に(正直男性なので分かりませんけど、ほんとか?とは思う)男性にはハードボイルドが必要とは言われますけれど(私が言ってるだけかも)ハードボイルド作品には、主人公に都合の良い、少し悪くて、若くて、過去に何かがあった、主人公に勝手に好意を寄せる女が、だいたいにおいて出てきます。そういうものが(歳を取った男性の)夢だから、せめて現実を忘れさせてくれる、映画体験や読書体験の中ならいいじゃないか、と。ええ、別にイイと思います。現実を特別視しないのであれば。現実と夢を混同しないで対処できるなら、現実に夢をみないなら。
次の章では、銭湯、浅草の晩酌店、昼食の公演でのゆるいベンチの隣の言葉は交わさないけれど目は合う女性が出てきたり、通い詰めているであろう小料理屋の歌の上手い女将の店など、休日の様子まで見せてくれます。もう本当にルーティン。草木が友人なくらい。
最後に、妹の娘が突然家出してきて、まぁこれがすっごく「ダンス・ダンス・ダンス」のユキに見えるんですよね・・・家出してくる少女(何歳は不明だが高校生から大学生くらい)がおじさんの一人暮らしに来ますかね?しかも仕事に付いてきたり、もう本当に平山にとって都合が良い感じの異性の存在感、すげぇ。そのお母さんである麻生祐未さんもまた、なキャスティングで、おじさんたちの夢が詰まってますね。
で、平山が好意を寄せているのは、女将(石川さゆり)なんですけれど、その相手が三浦友和さんなんですけれど、この人の演技、そしてそうは言っても役所広司さんの魅力と愛嬌が無かったら、この映画は成立しなかっただろうと思います。でも、わざわざ飛び出した平山に、三浦友和が出会えるのは、まぁやはりご都合主義なんですけれどね。
PERFECT DAYS凄く完璧なタイトル。こういう生活に憧れるおじさん、たくさんいるんだろうな・・・そして大丈夫かヴィム・ヴェンダース、もちろんヴィム・ヴェンダースだっておじさんなんだから、仕方ないのだけれど。
そしてwiki調べなんですけれど、ヴィム・ヴェンダースの作品の中で最もヒットした作品になってるみたいです・・・普通にショック・・・名作は「パリ、テキサス」とか「ベルリン天使の歌」じゃないの?個人的最高傑作は「夢の果てまでも」なんですけれど。
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