ハル・アシュビー監督 コロンビアピクチャーズ U-NEXT
2024年公開映画/2024年に観た映画 目標 36/100です。 現在は24/81
ホールドオーバーずがあまりに面白かったので、アレキサンダー・ペイン監督の構想元の1つと言われ、出演者に見せた作品の一つに挙げられていたので、観ました。ハル・アシュビー監督、私はテレビで観た「チャンス」しか観た事が無いです。
日本公開は1976年、アメリカでは1973年公開作品、なるほど、ホールドオーバーズに近いですね。
マーチが流れる中。ノーフォーク海軍基地に勤めている変わり者バダスキー(ジャック・ニコルソン)と几帳面なアフリカンアメリカンのマルホール(オースティン・ヤング)は先任衛兵伍長に呼び出され・・・というのが冒頭です。
なるほど!確かにこれは1970年代当時の事を知れる佳作だと思います。人によっては忘れられない作品になると思います。
ノーフォークからポーツマスまでのロードムービーとも言える作品。
バダスキーとマルホールという海軍の猛者の2人が護衛するのが18歳のメドウズ(ランディ・クエイド)で、このメドウズの成長と3人の奇妙な友情とも呼べば呼べるのですが、関係性を描いた作品。
たった50年前の作品とは思えない、今から見ると非常に牧歌的、良くも悪くもゆるい時代。しかし、だからこそ、ある種の温かみを感じさせてくれます。
この僅か半世紀前の常識が、今では考えられないくらい軽視されていると思うと、とても残念であると共に、街のいたるところにゴミがあり、喫煙が電車内で許されていた時代、隔世の感があります。
バダスキーやマルホールは今でいうと、荒くれ者で割合暴力で訴えるタイプの人間ですが、他者と関係を結ぶこと、良かれ、と思う事が普通の感覚に見えます。もう少し言うと、おせっかいに見えるという事です。
でも他人のお節介で世間は出来ているとも言えますし、私はこの手の世話されるのが苦手なのに、彼らの親切心Kindness、そして優しさTendernessには共感できるし、今最も必要な事なのでは無いか?と思うのです。
原題は「THE LAST DETAIL」なんか個人的にはしっくりこないし、かもめはセーラーという水夫の暗喩なんでしょうけれど、う~ん・・・コメディではあるけれど、それなりの「The Catcher in the Rye」感がある作品なんですよね。
その言葉通り、原作があるみたいで、そのラストの描写は知りたい。しかし、映画のラストを私はメドウズにとって必要な、人間の大人になる、という事なんだと理解しました。苦味もあるけれど、それこそ、ハナム先生のお酒の件じゃないけれど、コピーの下り、良かったなぁ。
もう少しいろいろハル・アシュビー監督作品観て観たくなりました。そう言う意味で、アレキサンダー・ペイン監督「ホールドオーバーズ」に感謝。
しかしメドウズ役の人、凄くいい味。この人がいたからこそこの作品の良さがある。もちろんジャック・ニコルソンも素晴らしいんだけれど。でも最近はジャック・ニコルソンを観ていると、どうしても自分に怒ってる、つまりタランティーノ作品に出ているレオナルド・ディカプリオを思い出してしまいますね・・・似てる!!
ホールドオーバーズが面白かった人にオススメします。
アテンション・プリーズ!
ここからはネタバレありの感想なので、未見の方はご遠慮いただき、是非「ホールドオーバーズ」と「さらば冬のかもめ」を観てから読んでください。
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結局、逃げる、という手段もあったと思います。何妙法蓮華経の人、いわゆるナムナム系の人たちの言うように。ただ、それではバダスキーとマルホールに迷惑がかかる。そして、最初はメドウズは全くすべてに受動的で、ある種投げやりだったと思います。
それがバダスキーのおかげで、人間として大人になったわけです。いろいろな意味で。
この成長部分は面白おかしく、そしてアイロニーに満ちて見えますし、リリシズムさえ感じます。だからこそ、投げやりだった時間への感覚が変わり、自己主張できるようになったわけです。だからこそ、刑務所に、些細な理由であったとしても、入ることの意義があるのだと思います。そういう社会でそういう世界に生きているからこそ、大人として行動しなければならないし、おそらく手癖も真剣に向き合う事が出来て、変われるとも思うのです。
しかし、宗教ってのは凄いな・・・いろいろな意味で・・・アメリカの人に、何妙法蓮華経って言わせてるの、いろいろな意味で、衝撃的です。
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