リュ・スンワン監督 NEXTENTERTAINMENTWORLD U-NEXT
2025年公開映画/2025年に観た映画 目標52/120 0/3
2024年作品で見逃したのを拾っていますが、これは大傑作!観ておかねばならなかった!後悔しています。観ていたら、ベスト10に間違いなく入っていたと思います。
1970年代半ば、クンチョン 軽快な歌謡ロック調の音楽に乗せて漁船が海をかけていき・・・というのが冒頭です。
脚本、絵の良さ、画角のカッコよさ、演者、音楽、小道具、もうどれも物凄く高いです、最高にエンターテイメント作品!2024年の映画の中でここまで、エンターテイメントに振り切った作品には出会えなかったですから、エンターテイメント度で言えば100点満点中で500点くらい出してる作品です。
まず、何と言っても脚本が素晴らしい。二転三転するケイパーモノと言えると思いますが、仲間なのか敵なのか不明だったり、黒幕のようで、どうなんだろう?と考えさせられます。しかも状況の設定が物凄く上手くて早いんです。
錆びれた港町で、遠景にはもくもくと煙を上げる工場が見えるだけで、海女さんの商売である貝や漁業に影響が出ているのが分かる絵が上手い。そしてただの海ではなく、美しさもあり、綺麗なんです。
時間経過の見せ方も秀逸で、なんだかアニメーション表現だとよく使われる手法だと思うのですが、物語に必要な時間経過さえも楽しませる工夫をしています。手を抜かない!
音楽も非常に心地よい所に多が届く感じで、歌謡曲っぽいところから、もう夕日のガンマン的な西部劇とか決闘で流れる感じもあり、サイコーです。なんか初代ルパンの大野さんの曲みたいな感じさえある。
ここに、さらにキャラクターが乗ってくるわけです。しかもこれはチーム戦もあるし、個人戦もあるし、なんならバディモノでもあるし、頭脳戦あり、肉弾戦あり、ハンデ線まであります。各キャラクターに、必ず見せ場があり、その上性格が妙にとっ散らかった感じの人が多く、予想がつかないです。
あ、基本ブラックなコメディでもありクライムサスペンスでもあり、そしてバディムービー。それもシスターフッドモノでもあります・
特に主演の2名、海女さんのリーダーであり精神的支柱・漁船の船長の娘ジンスクを演じたヨム・ジョンアさん、そして幼少期からジンスク漁師一家の家政婦として働きジンスクの相棒チュンジャを演じているキム・ヘスさんが本当にアツい。しかも、どう見てもこの人たち、30歳くらいかと思いきや、私と同年代でした!!驚愕!!!
この2名とベトナム帰りの軍曹で今は密輸王のクォンを演じているチョ・インソンさんの、悪役における紳士という立ち位置が見事にハマっていて素晴らしい。サイコー。この人の出ている場面すべてがゴージャスに見えるんです、場末のホテルだろうが、雑居ビルの一室でも、ゴージャス、つまり華がある。それでいて何をするか分からない不穏さも十二分に感じさせてくれます。
あ、もう1名良かったのが、やはり成り上がり者なんですけれど、めちゃくちゃ演技が上手くて笑える喫茶店経営者オップンを演じたコ・ミンシさんも凄く見せ場を作っています。
このほかにも、漁船船長、その息子の、もう地元民にしか見えない着崩し方というか服装も最高ですし、1970年代!という感じの色味も最高です。
それと、これは「ファミリー」という渡辺多恵子先生の漫画で知ったローラーゲームのホイップの水中版が観られて、大変アツいです。なんというか急にいろいろ思い出されて本当に記憶って不思議。
これは未来世紀ブラジルでも感じられるレトロフューチャー味があるんです。ただの過去なのに、華やかに強調して見せてくれて、こういう所で、ああコメディなんだな、結局のところちゃんと笑わせてくれるんだな、という安心感を感じさせているひとつだと思います。
女性同士の意地の張り合いや、女だからこその任侠めいた関係性、そして虐げられてきた者たちの巻き返し!しかも腕力に劣る男性に対して、頭脳と特技で挑むのサイコー!
バカみたいな感想ですけれど、頭が悪くなるくらい面白かったです!
それと映画「アシュラ」へのオマージュありましたね、ああいうのも最高。
エンターテイメント作品が観たい人に強く、強くオススメします。
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