筒井康隆著 新潮社文庫
吉田大八監督映画「敵」を観たのですが、なかなか面白い老人文学と思い、さらに師匠にもオススメして頂いたので。
何と言いますか、映画を先に観ているので、映画のキャストで脳内再生してしまいます。
ですが、凄く独白日記文学作品になっています。好きな分野です。
これ、初版が1998年で、筒井先生は昭和9年1934年生まれだから64歳の時に、渡辺儀助75歳を描いているわけで、10歳以上感覚の先取りをしている事になります。うん私も現在54歳今年のうちに55歳になるわけだけれど、気分はもう65くらいの感覚です。
ところが、私の想う老人の、最も良いイメージってまぁ荷風先生なんですよね・・・独居老人最高、文化的享受があって初めて成り立つ生活に憧れている訳ですけれど、それも「断腸亭日常」があまりに面白いからなんですけれど、にしても、ちょっとなぁ、という部分もあるんですよね・・・
で、そういう部分を包み隠さず、何しろ日記文学のようなモノなので、老人の独白ですから、どうしても心情の吐露になりますし、そこに他者の目が入らないので、何処までが現実で、何処からが妄想なのか?非常に曖昧模糊としていきますし、そうしようとしている。
この辺で当て字の効果がじわりと効いてきていて、筒井文学を読んでいる、という感覚になります。
ただつい、長塚京三さんでイメージしてしまうから映画的なので、自分で想像すると、まぁ老人て、疲れていて、運動機能が失われ、感覚器官の衰えがあり、認識機能の失調をきたし、感情失禁を起こしやすくなるのわけですから、誰もそんな状況になりたくない、とは思うけれど自然の摂理だし、受け入れていく姿勢が必要でもあります。そんな事は誰に言われなくても理解しているのですが、いざ自分が、となると、またいろいろな感覚や感情が萌芽すると思います。
それでも、昔の感覚であれば、論語でも、七十にして心の欲する所に従えど矩を超えず、と言われてて、まぁそうなるんだろうなと思っていましたけれど、その域に達するのは不断な努力の結果であって、一般人でさえ難しいのにホモサピエンスの中でも能力の低いダメサピエンスの私では到底無理な話しだったわけです。
しかし筒井先生の創造した渡辺儀助の面白い所は、不定形だけれど、やたらと自分に厳しいところと、凄くヌルいところが混在していて、そこに味があると思います。
そしてジャズ大名の原作者でもあり、オール・ザット・ジャズ観ないとなぁ~と思いました。
老人になるすべての人にオススメします。
でも共通点もあった。
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