米林 宏昌監督 スタジオジブリ
今日が最後です。最後に最新作、ということで見ました。米林さん、初めて見る作品ですが、全く予備知識なしで見たので、なかなか新鮮な驚きがありました。
車の後部座席に乗るローティーンの少年、どこか病弱な、アンニュイな雰囲気漂わせています。向かう先は運転するおばあちゃんの家のようです。家に着くと、そこはかなり古いお屋敷のような洋館に広い庭があります。その庭にいる猫をかまおうとして、少年は小人を見てしまいます。その小人は・・・というのが冒頭です。
かなりファンタジック話しなんですが、それをファンタジーの世界ではなく、このリアルな現実世界で行うことに面白味があると思います。ので、この世界観をを受け入れられないとなかなか厳しい映画体験になってしまうと思います。が、逆を言えば、そこを乗り越えてしまえばかなりリアルと地続きの異次元的世界観を楽しめます。
視点をミクロにするだけで、こんなにも世界が、知っている情景が、水や、風や、動物までもが違って見えることの面白さに加えて、小人の暮らしの重要な「狩り」のような「借り」が面白いです。ちょっとしたものを借りて生活、楽しそうですね。様々な工夫も多いですし、階段やライト、粘着テープの使い方等、なかなか現代的で創意工夫されていて良かったです。
ストーリィとは関係ない、しかしその見せ方、演出はなかなか素晴らしいものがありますし、子供のころから見ている絵柄ですので、もう最初から懐かしい感覚にさせられます。しかし、しかしです、
アテンション・プリーズ
ちょっとだけ、ネタバレあります、しかも今回は結末に触れてしまいます。ので、未見の方はご遠慮くださいませ。
なのでしっかり楽しんで見たのですが、しかしストーリィはどんなんでしょうか?割合起伏の少ない、そのうえご都合主義的な展開をコメディタッチで見せるやり方と、少年の病と向き合うを抱き合わせにするのは個人的には心地よくないものがありました。必死に追いかけていた猫も急になついてしまうのが気になります、何かきっかけが欲しいと感じます。
アリエッティと少年の邂逅が混乱と、破滅と、引越しを生んだわけですが、その反面心が通じ合った瞬間があった、までは理解できるのですが、そこから少年の方が「病と向き合う」というのはいかがなものでしょうか?
もう少し小人たち、あるいはアリエッティと、少年を含む人間との関わりがあっても良かったのではないか?と思います。関係が浅いうちからこその見せ方は面白いのですが、そうするとこの結末には納得しがたいものがありました。アリエッティたちの新たな借り家は今までとはかなり暮らし難い生活になるでしょうし。
また、毎回ジブリ作品の音楽は素晴らしいものがあると思うのですが、今回はイマヒトツ乗れませんでした、何故英語の歌詞なんでしょうかね。気分的にはドラマ「ふぞろいの林檎たち」の音楽が急にサザン・オールスターズからAORに切り替わった時のような感覚でした、悪くないかもしれないけど、もうサザンに慣れてしまってるのに!というアノ感覚です。例えが古くてすいません・・・
ただ、ストーリィうんぬんよりも感覚的なものを楽しむという意味で、「ポニョ」の時の水の描写のような、寓話といいますか、童話的な楽しさを追求したのかも知れません。
映画「ミクロの決死圏」、「インナースペース」のプロットが好きな方に、もちろん『ジブリ』作品が好きな方にオススメ致します。
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